じぃちゃんのタペストリ

じぃちゃんは肉体を離れてから
しばらくのあいだ
じぃちゃんの家のすぐ上に
おんなしような家を建てて
おんなしように近所付き合いを
大事にしていた

私はたまに夢の中で
その家に招かれた
じぃちゃんは 付き合いの大切さとか
お土産の重要性とか力説していた
今の田舎付き合いの私には
たいそう重要だ

いったん遊びに行くと
なかなか帰してくれなくて
窓から飛び降りて
ここに戻ったなぁ

ある日じぃちゃんは
自分の博物館を建てて
自分の功績を銅像にして
ずらりと館内に並べた
私ももちろん 招かれた

それは
じぃちゃんのタペストリ
この世に生きた じぃちゃんの証し

あのこと このこと 
縦横に織り成し
一つの布が 翻る

博物館を建てたじぃちゃんは
それから夢に見なくなって

ついこないだ 私たちを守る役目に
なったようだ
とっても素敵な和柄のドアが
じぃちゃんの 出入り口